キスからはじまる
予定の時間になって、早々と家をあとにした。
外に出ると、もう辺りは暗くて、すごく寒かった。
でも、寒さを忘れるほど、わたしは世良くんに会えることが楽しみで、ドキドキしていた。
もうすぐで、城山に到着する。
周りには、同じ目的地であろうカップルや友達どうしが見受けられる。
中学のときに、高校生になったら好きな人と城山のイルミネーションを見に行くことを夢見ていた。
まさかこんなにはやく、叶うなんて──。
「──西埜」
10分前だったから、とりあえず7時になるまで端にいようとしたら、後ろから声をかけられた。
どきんっ!と心臓がジャンプした。
「世良くん、待った…!?」
世良くんも、もう来てたんだ…!
「今来たところだよ」
そう言って小さく笑う世良くん。
か、かっこいい…!!一度世良くんの私服を見たことがあるけれど、今日もめちゃくちゃかっこいいよ…!!
「…西埜の?どうかした?」
って、当たり前のように見とれちゃってた。でも、そんなの恥ずかしくて正直に言えるわけがない。
「な、なんでないっ!」ってごまかすと、世良くんはクスリと笑った。