キスからはじまる


どう……したらいい?


わたしは、どうしたらいいの……?


頭が混乱して、言葉が出てこない。


まさか、こんなことになるなんて。


今の人は……瑠美さんは、世良くんの──。


「……西埜、少し、歩こうか」


「……う、ん…」


世良くんはわたしと顔を合わせずに、イルミネーションの光るほうへと歩きだした。


その隣を、ついていく。


人ひとりぶん、開けて……。


世良くんとここで待ち合わせする前までは、ドキドキでいっぱいだったはずなのに……一気に、ひっくり返ってしまった。


別の意味で、ドキドキしてる。


それは、あまりいいドキドキではない。


できれば、今から世良くんが言うことを、聞きたくない。


だけど、聞かなければならない。


なにも知らないままじゃ、いけない──。


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