キスからはじまる
…まさか、こんな内容だったなんて…。
すごくびっくりした。
瑠美さん、本当に本当に、ありがとうございます…。
「…世良くん、わたしも、瑠美さんに手紙書きたい」
ちゃんと返事をしたい…。
「わかった。ちょっと待って」
世良くんはそう言って部屋をあとにした。戻ってきた彼の手には、瑠美さんが住んでいる住所が書かれたメモ用紙。
「ありがとう…!」
家に封筒と便箋、あったかな。
なかったような…帰りに買いに行かなきゃ。
そんなことを頭のなか巡らせていると、世良くんにじいっと見つめられていることに気がついた。
「世良くん?どうしたの…?」
わたしが首をかしげて質問すると、彼は困ったように。
「どうしたの…って。胡春はどこまで天然なの?」
「へ…?」
分からないわたしに分からせるように、世良くんは空いていた距離をつめたきた。すぐ隣に腰かけてきた。肩と肩が、触れるくらい。そこでようやく気がついた。
わたしたち……。たった今から、恋人どうし…!?
しかも、流れで来ちゃったけど、世良くんの家なんて、世良くんの部屋なんて、はじめてだ。
わたしのバカ!!もうちょっとおしゃれして来たらよかった…。世良くんから連絡をもらってからすぐに行こうと、なにも考えずに普段着で来ちゃったよ…。