キスからはじまる


「まあ、行きたい大学があるからちゃんとやるけど」


すごい。まだ1年なのに、すでに先を見据えているんだ。


わたしなんてまだまったく考えてない。


四大に行くか短大に行くか、専門に行くかも…。


世良くんのこと、見習うべきかも…。


「どこの大学に行きたいの?」


聞いてもいいかな…?もう聞いちゃったけど。


「T大」


サラリというもんだから、あやうく聞き間違えたのかと思った。


T大学っていったら、きっと知らない人はいないんじゃないかというほど有名で日本トップの大学だ。


「世良くん、ほんとに尊敬でしかない…」


わたしは感心し、世良くんが雲の上の存在に思えてきた。


「わたし、応援する!」


…って、わたしに応援されたところでかもしれないけど…。言ったあとに思った。


だけど、世良くんは嬉しそうに目を少し細めて「ありがとう」と一言。


そして。


「それなら、俺のストレス、もっと減るようにしてくれる?」


「え…?」


一瞬意味がわからなかったけど、会話の流れからして、それがなにを示しているのか数秒後に理解した。


「なに言ってるの…っ?」


わたしは目を泳がした。


“ストレスが減るように”イコール“キス”ってことだよね…?

< 28 / 125 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop