キスからはじまる


「もう、いきなりなに──」


言葉がつまった。


お母さんの手には、二学期中間テストの結果票が持たれていたのだ。


「ちょっとお母さん。もしかしてわたしの机あさったの!?」


わたしは信じられない!と思った。


いくらお母さんでも、人の机勝手にあさるなんて…!


「隠してる胡春がわるいわよ!点数が低かったから見せられなかったんでしょう!?」


わたしは二学期中間テスト、全教科60点代だった。


でも、ほんとうは全教科70点以上とりなさいと言われていたのだ。


お母さんは勉強に関してうるさい。


全教科80点90点取れって言われてたわけじゃないから、頑張らなかった自分がわるいのは分かってるんだけど……。


「どうせ期末テストもテキトーにやり過ごすんでしょう!」


呆れたように言われ、わたしは思わずカッとなった。


「今期末テストに向けて勉強してるの!!」


人がせっかくやる気になってるのに…っ!!


「そんな口から出任せ言って!期末テスト終わるまで門限8時にするからねッ!」


「は、8時…っ!?そんなのいくらなんでもひどい!」


「自分がわるいんでしょう!?」


「ッお母さんの馬鹿!!そんなの絶対守らない!!」


わたしはそう叫んで自室に飛び込んだ。

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