キスからはじまる
「まああんなイケメンにキスされたらまんざらでもないよね~」
メグちゃんはにやりと笑った。
ま、まんざらって!
「じ、じゃあメグちゃんも世良くんならされてもいいの…?」
「っまさか!絶対嫌!」
「ダイくんだけ?」
「そうそう、ダイだけ…って胡春!わざと言わせたでしょっ!」
頬が少し赤くなったメグちゃん。可愛すぎる。
そして気を取り直したように。
「もし胡春が嫌だったなら、わたしが世良にガツンと言ってやったところだけど…まんざらでもないなら、やめておこうかな。今度ふたりきりになることがあったら、世良に聞いてみたら?どうして胡春にキスしたのか」
「ええ…!?そんなの恥ずかしくて聞けないよおっ」
保健室で一度聞いたけれど、あのとき判明した“ストレス軽減”なんて…あの場限りで言われたものだった。
「わたしが聞いてあげようか?」
「そ、それもだめ!まあでも、もうふたりきりになることなんてないと思う」
1回目のキスは事故だし、2回目のキスはわたしが図書室に行ったからだし、3回目のキスはわたしが保健室で寝てたからだし…これ以上そんな偶然が続くとか到底思えない。
今は世良くんのことを気にしてしまっているけれど、これから少しずつ風化していくだろう。
「そっかあ~。…じゃあ、世良のことは一旦置いといて。
松木(まつき)とは最近どんなかんじなの?」
メグちゃんはワクワクといった様子で尋ねてきた。