キスからはじまる
時刻は6時。
11月の空はすでに日が落ちて暗くなっていた。
「じゃあまたね~!」
「うん、気を付けてね~!」
わたしはメグちゃんとバイバイして、駅へと足先を向けた。
このまま帰れば、7時前に家に着くことができる。
現在の門限は9時から8時になってしまっている。
今日は1時間もはやく帰るのだから、まったく問題はない。
だけど家に帰ったら、お母さんと気まずい雰囲気のまま夜ご飯を食べなければならない。
わたしとお母さんは昨日からずっと喧嘩っぽいムードのままだ。
わたしが悪いのはわかっている。だけど、勝手に机をあさられたり、門限を8時にされるなんて意味がわからない。
今度の水曜日のクラス会も、すぐに帰らなくちゃいけないなんて…。
もう、守りたくない。
…そうだ、守らなかったらいいんだ。
わたしはこれまで基本的に反抗等してこなかった。
1回くらい、反抗してみてもいいんじゃないか。
そんな気持ちが心に芽生えた。
だって、高校生にもなって門限が8時なんて聞いたことがない。
9時は守るとしても、8時なんて、守らなくていいんじゃないか。そうしたら、クラス会も一時間半いられる。
…よし。
西埜胡春、はじめての反抗、はじめます。