キスからはじまる
「今日の朝寝坊して急いでたから、財布忘れちゃった…」
致命的なミスに思わず泣きそうなりながらメグちゃんに訴えた。
だって、今日は水曜日。クラス会の日だ。
焼き肉食べ放題で、値段は一人2500円。
時間はいつも通り7時からだと思っていたけど、昨夜、委員長から、6時から開始変更というクラスのグループメッセージでお知らせがあった。
お母さんとは仲直りしたものの、期末テストが終わるまで8時門限なのは、変わらなかった。わたしはそれに対して文句は言わなかった。だって、期末テストが終わったら、門限を10時にしてくれる約束をしたから。といっても、期末テストはがんばることは前提なんだけど。
今日は、6時開始で、7時半に焼肉屋を出なきゃいけないから、いつもどおり、1時間半しか過ごせない。
それはやっぱり残念だけど…まあ、仕方ない。
それよりも、今日財布を忘れたことが問題なのだ。
だって、一回財布を家に取りに帰っていると、6時半に焼肉屋に着くから、1時間しかいられなくなっちゃう。
1時間なんてあっという間すぎて逆に笑えるよ…。
「胡春、安心して?わたし、今日余分にお金あるから、貸してあげるよ」
メグちゃんがにっこり笑顔で言ってくれた。
「ええ…悪いよぉ」
もちろん返すけれど、わたし、お金の貸し借りがあまり好きじゃないんだよね。
「わたしが胡春に6時開始からいてほしいから、借りてくれるとうれしいんだけどな!」
今度はにやりと笑ったメグちゃん。
「いいのぉ?ありがとうメグちゃん~…!」
「楽しみだね!」
「うんっ!」
今日は6時開始に変更になってよかったな。
まだ朝なのに、もうわたしのお腹は焼き肉を求めてるよお。
クラス会を楽しみに、今日1日がんばろっと!