キスからはじまる
わたしたちのテーブルはわたしたちで盛り上がっているなか、メグちゃんが「…気になる?」とこっそり言ってきた。
世良くんに一瞬視線をやりながら。
“世良くんが気になる?”という意味だと理解して、思わず目を泳がした。
「き、気になるっていうか…!みんなと仲良く話せてて安心?みたいな」
これは本音だ。
世良くんもちゃんと、このクラスの一員なんだもん。
「あー、そっちかあ」
メグちゃんは意味深に言った。
「?そっちってどっち?」
「こっちの話しー!」
そっちどっちこっちって…理解力ないからわからないよぉ。
「──にーしの。グラス空だけど、なんか頼む?」
そのとき、となりに松木くんがメニュー表片手にやってきた。
「松木くん!ええと、りんごジュースにしようかな」
「おっけー!」
松木くんはちょうどそこにいた店員さんに「りんごジュースふたつ」と頼んだ。
「ありがとうっ、松木くんも、りんごにするの?」
「うん。炭酸って腹ふくれるし、りんごにしとこうかなって」
「たしかに!お肉食べられなくなっちゃうもんね」
食べ放題だから、もとを取らないとね!!