キスからはじまる
キス6
言うならば、“上書き”。
この間の世良くんのキスは、上書きだ。
だって……まるで松木くんの告白が頭から飛んでいってしまったかのように、わたしは世良くんのキスしか考えられなくなっているからだ。
息が一瞬止まった。
だから少し、苦しかった。
優しいキスじゃなかった。
決して、嬉しいとは思えなかった。
間違いなく、松木くんの告白のほうが嬉しかった。
それなのに、どうして……。
どうしてこんなにも、あのキスが忘れられないの……?
世良くんはどうしてあんな押し付けるようなキスをしたの……?
恋愛経験がないわたしには、わからないよ……。