キスからはじまる
わたしの隣の席は、まだ名前が埋まっていなくて。
もしかしたら、って思ったの。
もし、世良くんが隣になったら……。
25は──隣じゃ、ない。むしろ遠い。
なんだあ…。
でも、隣になったところで、わたしたちは話さない気がする。
わたしたちの関係は、ほんとうに謎だ。
謎でしかない。
だけど──その秘密の関係が、なんだか嬉しくも思うの。
今までの席替えで、世良くんを意識することは一度もなかった。
だけど今回ばかりは意識した。
結果は、遠い席なんだけど。
でも、わたしはとあることに気づいた。
あれ…?
わたしがひいた4っていったら、今、世良くんが座っているところだ。
そして、世良くんがひいた25っていったら…わたしの今の席だ。
すごい、まんま入れ替わりだなんて…!
え、すごい、なんかすごい。
…なんか、嬉しい……。
自然とそんな気持ちが心に芽生えた。