キスからはじまる
高校に入って春、夏、秋、と過ぎていったけど、こんな感情、芽生えたことなかった。
こんな感情、中学以来だ。
いや、きっと初めて。
中学のときの恋は、憧れのようなものだったから。
今の、世良くんへの気持ちは、今までの“好き”をはるかに越えた、“好き”。
土日のあいだ、世良くんのことをずっと考えていた。
世良くんの貴重な笑顔。
“西埜”と呼ぶ透き通るような声。
わたしの唇に何度も触れた、彼の唇…。
改めて、自分の唇に指をそえて、思い出してみる。
わたし、付き合ってもいない彼と、何度も……。
うれしい。
うれしい、けど……いいのかな。
付き合ってもいないのに、キスしてて、いいのかな。
そんなことを、今更ながら思った。
ほんとに、今更。
だけど……好きと言うことを自覚してしまった以上、世良くんの気持ちが………気になる。
世良くんは……わたしのこと、どう思ってますか?