キスからはじまる
「もしもし?………うん、え、そうなの?でも、今胡春といるから」
その会話を聞いて、わたしはピンときた。
おそらく、ダイくんは今日急遽部活がなくなったのだろう。
だからメグちゃんに会えるか電話をしたんだ。
「メグちゃん!ダイくんと会ってきなよっ」
わたしはにっこり笑顔でそう口を挟んだ。
なかなか会えないふたりだから、こんなチャンス、めったにないもんね。
「胡春~、ごめんね、ありがとう」
メグちゃんは申し訳なさそうな表情をしたけど、ダイくんに「会えるよ」と伝えている瞳は輝いていた。
それからわたしとメグちゃんはバイバイした。
メグちゃんとダイくんは街で待ち合わせみたいで、メグちゃんは学校とは遠ざかる方向に向かっていった。
わたしは電車に乗るため、来た道を戻りはじめた。
学校を越えた向こうに、駅があるのだ。
「さむ~…」
ヒュウッと風が吹いて、わたしの髪の毛とスカートを揺らした。
チョコチョコ歩きながら、駅を目指した。