生きろ。死にたくなかった君の号哭を、俺達は死んでも忘れない。
8本 お前が笑ってくれるなら。
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空我達に肩を支えられて、俺は別荘の寝室に戻ってきた。


「よー、元気?」

「……んー、そうでもないかな」


ベットに腰を下ろして、空を見上げていると、美弥香から電話がかかってきた。ポケットから携帯を取って通話に応じると、俺はそう言って、困ったように笑った。



今は空我と潤が買い物に行っていて、恵美と純恋は、俺を気遣って、1階でお粥などの食べやすいものを作ってくれている。


二人は仲良く調理しているだろうから、この電話が聞かれることはないだろう。

このたった一人の共犯者との会話が聞かれることは。

「そこは嘘でも元気だって言えよー。

恵美から奈々絵が体調崩したって聞いた時は、気が気じゃなかったぞ?」


美弥香は、楽しげに軽口を叩いた。


「……うん、分かってる。……もう大丈夫だから。ありがとう」


俺はそう言って、また、困ったように笑った。
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