生きろ。死にたくなかった君の号哭を、俺達は死んでも忘れない。
11本 お前らが笑えば、何でもいい。
「眩しいな……」
照りつける朝日に目が眩んで、俺はそう小さく呟いた。
3月の終盤の旅行三日目、春真っ盛りのその日、空はいっそ清々しいくらいに晴れ渡っていた。
朝の薬を飲み終わると、俺は水の入ったペットボトルのキャップを閉めた。そこでふと、俺は空我の髪色と同じ色をした快晴の空が目に入った。
……あと四日だな。これと同じ髪色を見れるのも。そう思うと、かなり切ない気がした。
“お前は、本当にそれで悔いがなくなるのか”
昨日美弥香に言われた言葉が、頭をよぎった。
――ああ、きっと無くなるよ。空我が、未来永劫笑ってくれさえすれば。……そのハズだ。
「奈々絵ー、準備できたよー」
「――!
ああ、分かった」
恵美の大きな声を聞いて、俺は、慌てて後ろに振り返った。
朝食を食べ終わると、俺達は昨日の朝に恵美が教えてくれた、あの屋上庭園に来ていた。
「ふー、ふふん、ふふーん、花見〜」
真後ろでは、空我がレジャーシートの上に座って、鼻歌を歌っていた。潤と純恋は、それを見て半ば呆れたように笑っていた。シートの上には、お弁当やサンドイッチや、飲み物、それに、各々の荷物が置かれていた。
「ククッ、楽しくなりそうだな」
「うん、そうだね!」
随分と楽しそうにしている空我達を一瞥した後、俺は自分の隣まで歩いてきた恵美と、わざとらしいくらい元気に笑いあった。