生きろ。死にたくなかった君の号哭を、俺達は死んでも忘れない。
13本 ――全て終わりにしよう。
目が覚めると、すぐに、傷一つない真っ白な天井が目に入った。
俺は、あちこちに機会が散らばった何処かの病室のベットで、仰向けになっていた。
窓からは満月が見えて、それからすぐに、ザーッと波の音が聞こえた。俺はそれを聞いて、判然とした意識の中で、辛うじてここが別荘の近くの病院なんだと理解した。
俺の口周りには人工呼吸器が付けられ、さらに腕には、点滴が繋がれていた。
「んっ、奈々……?」
耳元の近くで見覚えのある声を聞いた俺は、目線だけを動かして、辺りを見渡した。
すると俺は、美弥香がベットの横にある丸椅子に座って、うとうとしていたのに気がついた。
美弥香の瞳には、涙が滲んでいた。片手の指を動かして、俺は美弥香の目尻を、そっと触った。
「……美弥……香」
人工呼吸器を付けられているせいか声が出しづらくて、くぐもった声が漏れた。
「奈々……? 奈々絵っ!? よかったー!」
意識がはっきりすると、美弥香はそう言って、俺に勢いよく抱きついてきた。