生きろ。死にたくなかった君の号哭を、俺達は死んでも忘れない。
「……奈々絵、ごめん!!」
椅子から立ち上がると、美弥香は俺に頭を下げた。
「俺、……ずっとお前に隠しごとしてた。旅行が終わったら話そうと思ってたんだ。でも、それじゃあ遅いって気がついたから、――会いに来た」
バツが悪そうに、悲しそうに美弥香は言った。
「……」
「……奈々絵、検査の日、先生はお前の病気のこと、問題ないって言ったよな?あれ嘘なんだ。万が一恵美達の前で奈々絵が病気のことを言いそうになったら困るからって、先生は嘘をついた。
……本当は、お前の病気、問題ないどころの話じゃない。このまま手術を受けなかったら、お前、夏を迎えられない」
――つまり、最長で後2ヶ月……?
「……嘘だろ」
鳥肌が立った。圧倒的な絶望と恐怖と不快感が押し寄せて、何も考えられなくなりそうだ。
嫌だ。
病気が進行してた気はしたんだ。
でも、後2ヶ月……?
だから、美弥香はあんなに、俺に迷いがあるのかとか、悔いなく死ねるようになってるのかを気にしたのか?
――旅行だってろくに楽しめなかったのに、俺はもう恵美達のそばにはいれないのか……?
――二度と?