生きろ。死にたくなかった君の号哭を、俺達は死んでも忘れない。
殆ど八つ当たりだった。
自分の命があと2ヶ月もないってことも、もう恵美達に会えないってことも。
何より共犯者だと思っていた美弥香が隠しごとをしていたことが、本当にムカついて。
「……奈々……絵?」
「帰れよ今すぐ!!――共犯者だって言ったよな?俺は旅行であったこと、全部お前に話したんだぞ!!俺の決意も、嘘も何もかも!!なのにお前は、ずっとそんな大事なこと黙ってたって言うのかよっ!?
そんなんで何が共犯者だよ!帰れよ今すぐ!!」
叫ぶようにそう言うと、俺は美弥香の服の襟から手を離して、ベットの掛け布団の下にうずくまった。
「ケホッ、ゴホゴホッ」
立て続けに喋ったせいか、咳が出た。
「……奈々絵、ごめん。……でも俺、本気でお前と花火したいと思ってたんだよ……」
泣きそうな声で、美弥香は言った。
「――そういうの全部終わりだよ、何もかも」
顔も見ないで、俺は言った。
美弥香は、何も言わずに病室を去っていた。
きっと、もう二度とこいつの顔を見ることはない。
――終わりだ、何もかも。