生きろ。死にたくなかった君の号哭を、俺達は死んでも忘れない。
「……牢獄に逆戻りしたな」
アビラン先生が病室を去った後、俺は天井を見上げて、そう他人事のように呟いた。
手術を受ける気があることを、俺はまだ、先生に言い出せずにいた。
やっぱり怖いし、自ら死ににいきたくないと思ったから。
最期の悪あがきをする気はあっても、怖いものは怖い。
それに何より、もう生きた意味も何一つない俺には、わざわざ頭を下げてまで、手術をする理由が見つからなかった。
俺のあの三日間に、意味はあったんだろうか……。
必死で見つけた生きた意味も、悔いなく死にたいって想いも、粉々に砕けた。
それなのに、わざわざ旅行に行った意味はあったんだろうか……。
俺は体育座りをして、膝を抱え込んだ。