生きろ。死にたくなかった君の号哭を、俺達は死んでも忘れない。


7月7日に、あなたは生まれた。

あなたは生まれて一週間もしないうちによちよち歩きを覚えて、半年が経った時には、二足歩行をして喋べるようになった。

近所の人達はそれを見てあなたを天才だって褒めたたえたけれど、お母さん達はそれを気味悪がって、あなたに暴言を吐くようになった。――“なんでこんなことができるの”って。できることを否定されるのは、できないことをやれと叱られるのよりも辛いのに。

気がつくと、お母さん達はあなたが本当に自分たちの子供なのかって、そんな言い争いばかりしていた。

お母さん達は決して頭がいいわけではなかったから。そして、お母さんは挙句の果てに、ある日、1歳のあなたを孤児院に捨てた。


――出生届も母子手帳も燃やし、無戸籍の子供として。



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