生きろ。死にたくなかった君の号哭を、俺達は死んでも忘れない。
……忌み子なんてもんじゃない。
俺は元から、両親に愛されてすらいなかった。
そう思うと、指の震えが止まらなかった。
「奈々絵……」
震えた俺の手首を掴んで、爽月さんは名前を呼んだ。
“辛いならやめてもいい”って、そう言われてるみたいだった。
俺は首を振って、手紙に書いてある文字に目を走らせた。
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それを知ったお父さんは、お母さんを、“幾らなんでもやりすぎだ”と叱った。後に、お父さんはお母さんと離婚し、私と一緒に、関東中の孤児院を訪ねて、あなたを探し回ってくれた。
そして、あなたが丁度二歳になる時、私達は関東の外れの茨城の孤児院で、あなたを見つけた。
そして、私はお父さんの反対を押し切って、あなたを赤羽奈々絵と名付けた。