生きろ。死にたくなかった君の号哭を、俺達は死んでも忘れない。


……忌み子なんてもんじゃない。


俺は元から、両親に愛されてすらいなかった。


そう思うと、指の震えが止まらなかった。


「奈々絵……」


震えた俺の手首を掴んで、爽月さんは名前を呼んだ。


“辛いならやめてもいい”って、そう言われてるみたいだった。



俺は首を振って、手紙に書いてある文字に目を走らせた。


**


それを知ったお父さんは、お母さんを、“幾らなんでもやりすぎだ”と叱った。後に、お父さんはお母さんと離婚し、私と一緒に、関東中の孤児院を訪ねて、あなたを探し回ってくれた。




そして、あなたが丁度二歳になる時、私達は関東の外れの茨城の孤児院で、あなたを見つけた。



そして、私はお父さんの反対を押し切って、あなたを赤羽奈々絵と名付けた。


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