生きろ。死にたくなかった君の号哭を、俺達は死んでも忘れない。
家に帰ると、俺は自室のベッドに寝っ転がり、目を閉じた。
「なーなえっ! 奈々絵!!」
姉の声も顔も、目を閉じれば直ぐに浮かんでくる。
少なくとももう姉が死んでから四年は経ったのに目を閉じただけで思い出すし、一ヶ月に一回は夢に見る。
忘れたくても忘れられない。
考えたくないと思っても考えずにいられない。
……こんなのまるで呪いだ。
「俺が死ねばよかったのにな」
言い聞かせるみたいに言う。
そうしないと壊れそうだから。
死なないでよかったと思われてるなんて、絶対に認めたくない。親戚にも恵美達にもそう思われてるなんて、考えたくもない。
……頼むから、必要としないでくれ。
散々死ねばいいって言ってたくせに、今更死んで欲しくないなんて言わないでくれ。
だってそんなこと言われたら、どうしたらいいか分からない。
死ぬんだよ、俺は。あと一ヶ月で。
今更嫌だなんて言われても、困るんだよ……。
だって、もう取り返しがつかないんだから……。