生きろ。死にたくなかった君の号哭を、俺達は死んでも忘れない。



女っぽい名前だってお父さんには散々反対されたけど、私は、絶対にこれがいいと思ったの。


――だって、漢字の奈は、花梨を現すから。



“いつか何者にも変え難い唯一の恋をして、あなたを捨てたお母さんなんかよりも、ずっとずっと幸せになれるように”と、そう願いを込めたの。



そこまで読んだだけで、涙が止まらなかった。


――俺は今まで何をしていたんだ?


美弥香や空我達に嘘をついて、自分も沢山たくさん傷つけて。



姉ちゃんは、こんなにも俺の幸せを願ってくれたというのに。



「……奈々絵、事故の時、車の中にいたのがお前を含めて四人だったのは、紫苑がお前のために、実の母親も一緒に、家族四人で暮らそうと企てていたからだ。


日本一頭のいい学校で首席になって、誰よりも慕われる委員長になるのを条件にな。



……母親は紫苑にその実力があれば、お前を実の息子だと信じると言ったそうだ」


涙を流す俺に、爽月さんはそう小声で囁いた。



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