生きろ。死にたくなかった君の号哭を、俺達は死んでも忘れない。
「……しょうがないなぁ。美弥香と一緒にいない理由を教えてくれないのは不服だけど、仕方がないから、別れてあげる。
……あたしはあんたに飽きて捨てられた。そういうことに、しといてあげるよ」
「……っ、ああ、そうだな」
俺は拳を握りしめて、ウインクをした恵美に力強く頷いた。恵美の瞳から、また涙がこぼれ落ちた。
「……大好きだったよ、恵美」
胸グラから手を離した俺は、恵美に声が聞こえるか聞こえない程度の小さな声でそう言った。そして、痛む体に鞭打って、再び、屋上に向かって歩き出した。
「……愛してたよ、奈々絵。バイバイ」
恵美は俺の後ろ姿に小声でそう囁くと、俺とは逆方向に廊下を歩いて去っていた。
最期のあの言葉が恵美に聞こえてたのか、俺は知らない。
……本当に愛してたよ、恵美。
ううん。
俺は今もきっと、君を愛してる。
神様なんていないと思ってた。でも、君は紛れもなく、俺の神様だったんだ。本当に。
でも、これでもう本当にお別れだ。
今度こそもう二度と会うことは無い……。たとえどんなに辛くとも。……どんなに、死ぬのが怖くても。