生きろ。死にたくなかった君の号哭を、俺達は死んでも忘れない。
「……っ、笑わなくていい。泣きたいなら思いっきり泣け。……受け止めてやるから」
俺は空我の腕を掴んで、ベットに座るように促すと、傷口に触れながら、そう優しく言った。
「……その言葉、そっくりそのままお前に返すぞ?」
「……強がんな、バカ」
「……うっ、うぇ、ふぇ……っ」
空我はそう言って、可笑しそうに笑った。でも、俺がそういうと、すぐに空我は、張り詰めていた糸が切れたかのように、赤ん坊のように声を上げて泣き出した。
「ごめんなさい……っ。ごめんなさい……」
誰に対しての謝罪なのか、よく分からなかった。
数分たった頃に、俺はやっと、これが母親に対する謝罪の言葉なのだと気がついた。
「ごめんなさい、ごめんなさい……っ」
「謝らなくていい、お前は何も悪くないんだから。……いつか、母親にも分かってもらえるようになるよ」
殆ど呪文のように言う空我の頭を、もう片方の手でそうっと撫でながら、俺はそう大した根拠もなく言い放った。