生きろ。死にたくなかった君の号哭を、俺達は死んでも忘れない。
「……そうかもな」
ご飯を炊きながら、潤は言った。
「……潤はなんで学校に行ってんだよ。そんなとこに行ったって、奈々絵を思い出すだけなのに」
俺は学校に行こうとすると、嫌でも考えてしまう。……奈々絵は学校に通っていた時、美弥香とどんな話をしていたのかとか。あるいは、美弥香の他にはどんな友達がいて、どんな日々を過ごしてたのかとか、そういうことを。
そんなことを考えたって、しょうがないのに。
もうあいつは戻ってこないんだ……。二度と。
「俺は学校で勉強したりだとか、何かしてる方が気が紛れるから行ってるだけだ。そんなことよりほら、お前も少しは手伝え」
圧力鍋でぱちぱちと餃子が焼きながら、俺と目も合わせないで、あきれたように潤は言った。
「俺料理手伝ったこともしたこともねぇもん。……奈々絵とよく似てな」
潤の隣に行って、俺は言った。
「……空我、何でもかんでも奈々絵に結びつけるな。そんなの辛くなるだけだろ?」
俺の頭を撫でて、潤は、俺を励ますかのように、優しく笑った。
「……うるせぇ。帰る」
俺はそれが、尺に触った。
自分には余裕があるのを見せつけられたみたいで。