生きろ。死にたくなかった君の号哭を、俺達は死んでも忘れない。
「……うん、いいよ。――探しに行こう、生きる意味を」
恵美は俺の頭を撫でて、平然とそう言った。
「……海に、行きたいんでしょう?」
また、恵美は俺が予想もしない言葉を言った。
――なんで、どうして。
確かに俺は、今朝図書室で、アルバムにあった海の写真を覗き込んでいた。
でも、恵美に行きたいのかと聞かれた時、確かに誤魔化したハズだった。
――彼女は、俺が本当は行きたいと思っていたことに、気づいていたのだろうか。
「……恵美、気づいてたのか?」
「うん。……君がもう一度生きたいって思ってくれるなら、あたし達は君を、何処にだって連れていくよ」
恵美はそう言って、俺に手を差し出してきた。
「……恵美」
それからすぐに、病院の出入口から、空我達三人が現れた。
「……なぁ奈々絵、生きる意味なんて、俺にも全然わからない。でも、そうであるからこそ、それが見つかった時、人生はどうしようもなく楽しくなると思うんだ」
おちゃらけたように笑って、潤はさぞかし楽しそうにそう言った。
「フハッ、ああ、そうだな」
小さく笑って、俺は恵美の手を取った。
――その時から、止まっていた俺の時間は再び動き出した。