生きろ。死にたくなかった君の号哭を、俺達は死んでも忘れない。



「…………さて、行くか!」


自分を奮い立たせるかのように、俺はわざとらしく声を上げて、病院の中に入った。

「うん!!」


恵美はそんな俺に、元気よく頷いてくれた。


呼吸器内科に足を進めると、俺はそこの診察室から患者が出てきたのを見てから、診察室のドアをノックした。


「……先生、赤羽です。昨日は取り乱してすみませんでした。ちょっとお時間いいですか」


「ああ、構わないよ。どうしたんだい?」


昨日の態度が後ろめたくて、躊躇いながらもどうにか声をかけると、先生はドアを開けて、優しく微笑んでくれた。

俺の担当医の先生はアビラン・フィリア=セントという名で、空我の実の父親だ。


息子の空我が快晴の空を体現したかのような空色の髪をしている一方で、先生は、紺に近い青のような髪色をしている。

その髪色と二人の釣り目がちな瞳を見比べると、空我は本当に父親似なのだとつくづく思う。

俺達五人は、すぐに診察室の中に入るよう先生に促された。


「……実は、先生にお願いがあって来たんです」

先生が座っていたところの真ん前にあった丸椅子にみんなが腰を下ろしたのを見てから、俺はすぐにそう言葉を紡いだ。


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