生きろ。死にたくなかった君の号哭を、俺達は死んでも忘れない。
診察室から去ると、その日は、明日の旅行に備えて荷造りをするため、病院の出入口まで戻ったところで、解散となった。
「それじゃあみんな、日比谷家の別荘は取っとくから、明日は9時半にあたしの家集合ね!奈々絵の家には、10時前には迎えにいくからね?」
「……ああ、わかった」
元気よくそう言った恵美を見て、俺は困ったように笑った。
「「じゃあなー」」
「またなー!」「まったねー」
「……またでーす!」
俺が恵美にそう答えたのを合図にして、みんなは各々の家へ向かっていった。
ちなみに、最初に口を開いたのが空我と潤で、次は俺と恵美、その次は純恋だ。
ごめんな恵美、空我、潤、純恋……。俺のわがままに付き合わせて、本当にごめん……。
隣にいた恵美からほんの少しだけ目を逸らして、俺は心の中でみんなに謝った。
それで、これからする罪が全て消えるわけでもないのに。
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恵美と分かれて家に帰ってきた俺は、スキニーのポケットから鍵を取り出すと、それ使って家のドアを開けた。
玄関で靴を脱いで廊下に足を踏み入れると、そこの突き当りにあったドアから、親友がちょうど出てきた。