生きろ。死にたくなかった君の号哭を、俺達は死んでも忘れない。
0本 自分を生かそうと思えなかったんだ。


「赤羽くん、君はやっぱり手術をした方がいい。でないと、君は多分、あと1ヶ月もしないで死ぬ」


 俺のカルテを見ながら、先生は言う。

 ここは診察室だ。俺は今、そこで主治医のアビラン先生から検査結果を聞いている。余命1ヶ月なんて、信じたくもない結果を。


「でも、手術をしても死ぬんですよね……?」

「それは……」


 俺がそう言うと、先生は言葉に詰まった。 

「……すみません。気を遣わせましたね」

 俺は頭を下げていう。


 俺は、赤羽奈々絵(アカバナナエ)。こんな名前だけど、一応男だ。

 俺は小6の3月に自殺未遂をして、それ以来、定期的に病院に通っている。


 自殺未遂をした時に起きた、脳挫傷の治療をするために。


 飛び降り自殺をした時に頭を強く打ったらしく、それで起きてしまったんだそうだ。


 なんでもそれは結構危険な病気らしく、手術をしても完全に治りはしないらしい。


感覚障害とか、頭痛とか嘔吐とかいろんな後遺症が残ってしまうんだとか。

 俺はそれが怖くて、手術を受けてない。

ただでさえいまでも頻繁に嘔吐とかはするのに、それが手術をして余計悪化とかしたらたまったもんじゃないから。


 今までは手術を受けない分、なんとか点滴とかで治療をして生きてこれた。でも、どうやらもう、それも限界らしい……。





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