生きろ。死にたくなかった君の号哭を、俺達は死んでも忘れない。
「うん、……あいつらとなら、生きた意味が必ず見つかる気がするから」
「……そう、か」
俺がそう言うと、勉強机に寄りかかっていた美弥香は、倒れるように、机の目の前にあったベッドに座り込んだ。
「……美弥香?」
様子が心配になって、俺は慌てて、美弥佳の隣に座り込んだ。
「……別にいいよ。お前がそれがいいってんなら、俺は反対しねえよ」
美弥佳は俺の頭を撫でて、困ったように笑った。
「……美弥香」
「隠し通してるの辛くなったら、何時でも電話しろよ?……俺になら、何でも話していいし、泣いたって、いいんだから」
「……っ、ああ」
顔を片手で覆い、俺は声を押し殺して泣いた。
「……大丈夫だよ、きっと。
お前なら、旅行が終わるまで隠し通せる」
俺の背中を撫でながら、美弥香は優しくそう言った。
――絶対に、これだけはバラしてはいけない。
隠し通さないといけないんだ。
俺は自分が合併症にかかっていて、その手術を勧められていることを恵美達に言っていない。
あの四人は、俺が喘息の手術を受けるのだと思っている。
それだけは、絶対に隠し通さないといけない。
隠さないと、きっと旅行が楽しめないし、生きた意味も見つからない。
――空我達五人と行くなら、旅行は絶対に楽しいものになるし、生きた意味だって見つかる筈だ。
――俺が隠し通さなかっただけでそうならなくなってしまうのは、勘弁してほしいと思ったんだ。