生きろ。死にたくなかった君の号哭を、俺達は死んでも忘れない。
別荘のドアを恵美が開けると、各自荷物を持ちながら、俺達はその中に足を踏み入れた。ただし発作を起こしたから困るからと、奈々絵は潤に荷物を押し付けていたが。
「奈々絵ー、これ、男子の鍵。一応四人部屋でダブルベットが二つあるから、余ったベット誰か一人で寝るか、三人一緒にひとつのベットに寝るか好きにすればいいんじゃない?」
ポケットからカードキーを取り出すと、それを奈々絵に渡し、恵美は大層ニヤついた顔をして、可笑しそうに笑った。
「はぁ?アホかっ!!なんで三人用の部屋じゃないんだよっ!?」
俺は、思わず声を荒らげて抗議した。
「奈々絵、――」
そんな俺と目が合うと、恵美は小声で、奈々絵に何かを喋った。
「……ん、分かった。
空我、潤、行くぞ」
カードキーを受け取った後、奈々絵はそのひそひそ話に頷いてから、俺達に声をかけてきた。
それからすぐに、奈々絵は玄関で靴を脱いだ。台所のあるダイニングの奥にあった階段のところまで、そのまま奈々絵は歩いていった。
「「なっ、奈々絵待てって!!」」
俺と潤は慌てて靴を脱いで、早足で奈々絵を追いかけた。
「アハハっ! あたし達も行こっか!!」
「……はい!」
俺達の後ろにいた恵美は、楽しそうに笑い声をあげた。その隣にいた純恋はそう返事をすると、すぐに恵美と一緒に俺達を追いかけてきた。