生きろ。死にたくなかった君の号哭を、俺達は死んでも忘れない。
――世界は、子供にはどうにもならない理不尽で満ち満ちている。
世界各地に支店を持つファッションブランド、Sunny。日比谷家は、そのブランドのトップだ。
潤と恵美は、将来そこの跡継ぎになることが決まっている。
本来なら、自分の将来を決めるのは親ではなく、自分自身のハズだ。けれど、潤達はそれを主張することすら、許されていない。
――なんで。
本当にどうして、この世は嫌ってほど理不尽にまみれているのだろう。
虐待されていた時、母さんは俺に聞く耳持たずだった。
どんなに泣いても叫んでも、母さんは俺に暴力を奮った。
そして、母さんは俺の泣き声に心を痛むこともせずに、日に日に暴力はエスカレートしていった。
――そんな酷い世界では、生きる意味がないと生きていけない……。