生きろ。死にたくなかった君の号哭を、俺達は死んでも忘れない。
姉は俺に、死んで欲しくないのかもしれない。
――でも、俺はそれ以外の人に、死を望まれている。
それなら、もう自殺するしかない。
だって、俺が死ぬのを望んでないのは、死んだ姉と美弥香しかいないのだから……。
傷だらけの体に鞭打って、俺は立ち上がった。
「奈々絵、お前、本当にこのままでいいのか!!
――お前は、出来損ないなんかじゃないだろ?
あいつらに、わかってもらえなくていいのかよ?
お前このままだと、親戚に会う度に暴力を奮われるハメになるぞ」
出入口に差し掛かったところで、俺は当時も親友だった美弥香に、腕を掴まれた。
――きっとそれは、正論だった。
それでも、死ぬ気だった俺は、親戚達を説得する気にもならなかった。
「好きに言わせとけよ」
そう言って、美弥香の腕を振り払い、俺は会場を後にした。
――もういい。
たとえ姉と美弥香が出来損ないの俺にも価値があると、存在する意味があると認めていても、それ以外の人が認めてないのなら、 俺は死ぬ。
――だって、それがみんなの望みなのだから。
ごめん、姉ちゃん。――俺、死ぬよ。
なぁ姉ちゃん、言ってくれたよな。笑って生きろって。
――多分、そんなのあんたがいないと、一生涯無理だよ。
――そうして、俺は飛び降り自殺を図った。