生きろ。死にたくなかった君の号哭を、俺達は死んでも忘れない。
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空我が夢に見たのは、かなり酷いことだった。
それが現実に起きたことだっていうんだから、とても信じられない。
空我の虐待が始まったのは、六歳の時だ。
そんな小さい時に母親に殺されかけたのかと思うと、俺はとても悲しくなった。
「……ごめんな、こんな話して」
涙を拭うと、空我はそう言って、困ったように笑った。
「……馬鹿、なんで謝るんだよ。
俺、嬉しいよ。空我がやっと話してくれて」
「……え?」
「……空我が今朝から元気ないのをずっと気がかりに思ってたから」
戸惑った顔をした空我の背中をそうっと撫でて、俺はゆっくりと言葉を紡いだ。
――それは、本心だった。
悲しかったけれど、俺はそれ以上に、空我が心情を吐露してくれたことに安心して、嬉し涙がこみ上げてきていた。