生きろ。死にたくなかった君の号哭を、俺達は死んでも忘れない。
「……うっさい。脅かすなよ」
「だって、奈々絵急にベランダからいなくなるから、気になったんだもん」
図星なのが尺で、俺は頬を赤らめて、恵美から目を逸らした。恵美は俺を見ると、顔をリンゴみたいに赤くして、拗ねたように頬を膨らませた。
「……それは、ごめん」
「うーうん、いいの。空我、元気になってよかったね」
目を逸らしたまま謝ると、恵美は首を振って、心の底から嬉しそうに、穏やかに微笑んだ。
「……そうだな。恵美は、いつ空我が元気ないのに気づいたんだ?」
「今朝だよ。空我、泣いてたじゃない。奈々絵も、空我が泣いてたから気づいたんでしょ?」
恵美は、当たり前のようにそう言った。