生きろ。死にたくなかった君の号哭を、俺達は死んでも忘れない。
「奈々絵ー花火しようぜっ!!!」
花火の入った袋を掲げて、空我は背後から声を掛けてきた。
隣には、水の入ったバケツを持った潤と、微笑んだ純恋がいた。
「……俺、パス。バーベキューは煙よければいいけど、花火は煙の避けようもないだろ。先別荘戻ってるよ」
俺はそういって、困ったように笑った。
――嘘をついてるのが決して悟られないように。
「なんだよそれ!奈々絵が花火しようって言ったんだろー」
口を尖らせて、空我は不満げに声を漏らした。
「……また今度な」
不満げな空我の頭を撫でて、俺はそう言った。
――嘘だよ。
俺、本当はもうすぐ死ぬんだよって。
そう言えないことが、どうしようもなく歯がゆかった。