生きろ。死にたくなかった君の号哭を、俺達は死んでも忘れない。
「奈々絵、ほら」
「ん、ありがとう」
恵美にタオルを手渡されると、俺はそれで足を吹いて、靴下と靴を履いた。
「……恵美、純恋に、旅行中はタメ口にしてくれるよう伝えといて。その方が、みんな旅行思いっきり楽しめるだろ。じゃ、多分先寝てるから、また明日な」
「うん、分かった。伝えとくね。おやすみ、奈々絵」
そう言って、恵美は笑った。
「……ん、おやすみ」
俺は頷いて、笑った。
本当は、みんなが思いっきり楽しめるから、タメ口にして欲しい訳ではなかった。
その方が、今日の空我みたいに、純恋が不審な行動をとった時に、すぐ気づけるからだ。
俺は君に、嘘ばっかついてる。