生きろ。死にたくなかった君の号哭を、俺達は死んでも忘れない。
ベットから降りた俺は、キャリーケースを開けて薬の入ったカラー袋から、今日の分のを取り出して、袋の紐を結んだ。
その中でも朝の分のを、キャリーケースの隅に追いやられた水の入ったペットボトルのキャップを開けて、無理矢理口の中に流し込んだ。
残りの今日の薬をポーチに入れて、それから発作時の薬の量を見てから、俺はキャリーケースのチャックを閉めた。
最後にポーチのチャックを閉めて、俺は隣のベットで眠る空我の頭を撫でた。
――平気だ。
あと六日くらい、どうってことない。
空我が旅行を楽しく送れるためにも、隠さないとな……。
そう思いながら、俺は空我の頭から手を離して、遥か前方の窓に映る空を見上げた。
その窓の前にあったベットにいた潤は、紫色の髪を触りながら、身体を起こした。
「奈々絵。……はよ」
俺を見て、潤は穏やかに笑った。
「……はよ。花火、空我楽しんでたか?」
「まーな。楽しそうにしてたよ。奈々絵が参加してなかったから、少し不機嫌だったけどな」
そう言って、潤は可笑しそうに笑った。