生きろ。死にたくなかった君の号哭を、俺達は死んでも忘れない。
階段を降りてダイニングのテーブルに行くと、そこにはクロワッサンと目玉焼きが人数分置かれていた。
バターがふんだんに塗られ、光沢があるかのように、クロワッサンは煌びやかに輝いていた。
「……美味そうだな」
「ほんと?良かったー!純恋と2人で作ったんだよ!!」
俺がそういうと、恵美はまるで一輪の薔薇が咲いたかのように、パアッと、艶やかに笑った。
「……へぇ」
いい笑顔を見たなぁと思いながら、俺は相槌を打った。
「奈々絵、飲み物何がいい?」
「……水でいいよ」
雑にそう返して、俺はテーブルの前にあった右端の椅子に座った。
俺の水と、自分の麦茶の入ったコップをテーブルに置くと、恵美はテーブルを挟んで真ん前に座った。
「いただきます」「いただきまーす」
「今日、空我どこに行きたいかな?」
声を揃えてそう言ってからすぐに、恵美はポケットから携帯を取り出して、首をかしげた。
「え」
クロワッサンにかじりついていた俺は、急に疑問を投げかけられ、戸惑った。