生きろ。死にたくなかった君の号哭を、俺達は死んでも忘れない。
テーブルの上に零れたのの他に、幸い、コップの中にはまだ水が半分くらい残っていた。残りのコップの水を口に含み、俺は、鎮痛剤を喉の奥に流し込んだ。
「はぁ……」
テーブルの横にあった椅子に座って、背もたれに背中を預けると、痛みはゆっくりと引いていった。
薬の効き目が良い時と悪い時があるのが、本当に厄介だ。
昨日は、本当に中々効かなかった。
合併症が悪化して、薬が効きづらくなってるのだろうか……。
そう考えると恐怖心が押し寄せて、本当にゾッとした。
「奈々絵」
誰かに背後から声をかけられた俺は、慌ててテーブルに手をつけて立ち上がり、後ろに振り向いた。
そうすると、目の前には恵美がいた。
――一体、いつからそこにいた?まさか、俺の胸痛が始まった時からではないよな……?