生きろ。死にたくなかった君の号哭を、俺達は死んでも忘れない。
――遊楽水族館という名の建物をくぐると、透明なガラスを越えて、潮水の匂いが香ってきた気がした。
入り口の左側にはお土産屋があって、右側の長い通路には、ガラスの水槽に入った魚達がいた。
「あっ!!」
通路を散策していた時に、恵美は急に駆け足になったと思ったら、すぐに走るのをやめた。
「うわっ、クマノミ可愛い!!」
水槽に手を当てて、恵美は白に黒の縦模様のしましまが描かれたクマノミの体に、釘付けになっていた。
クマノミは、水槽の中にいるのに、まるで宙に浮いているかのように陽気で、優雅にゆっくりと泳いでいた。
「すっげ!!」「かわいー」
純恋と空我も、その姿を見て、随分と感心したかのように目を見開いていた。