こじらせ女子の恋愛事情
私にも、可憐ちゃんみたいな可愛らしさがあったらよかったのに。
自然にニッコリできる処世術を身に付けたいものだ。
なんて卑屈になってしまうあたり、私のこじらせ感が出てる。
そう、私はこじらせアラサー女子なのだ。
黒歴史である過去の恋愛が原因で、上手く笑えなくなってしまった。
それがきっかけで大きな黒ぶちメガネをかけるようになった。
なるべく顔を隠したいと思ったからだ。
でも、私だって昔は可憐ちゃん程ではないにしろ、ニッコリ笑って受付業務をしていたと思うんだけどな。
「真知さん、私ちょっと手を洗ってきますね。」
「うん、いってらっしゃい。」
血の滲んだ手をふーふーしながら、可憐ちゃんは出ていった。
私は引き出しから絆創膏を出して彼女のデスクに置く。
ふいに扉が開いて、「おはようございまーす」と間延びした声が聞こえる。
「おはようございます。」
可憐ちゃんがいないときは当然私が受付をする。
仕分け作業の手を止めてカウンターへ寄ると、宗田くんが顔を覗かせていた。
宗田くんは私と同期で、設計職として入社して希望通り設計課へ配属されている。
1ヶ月の新入社員研修ののち各課に配属されるのだが、私は事務職、宗田くんは設計職ということでもう絡むことはないだろうなんて思っていたのに、図面管理課と設計課は密に関わりがあって、こうしてよく顔を合わす。
宗田くんは私を見ると、軽く右手を上げた。
自然にニッコリできる処世術を身に付けたいものだ。
なんて卑屈になってしまうあたり、私のこじらせ感が出てる。
そう、私はこじらせアラサー女子なのだ。
黒歴史である過去の恋愛が原因で、上手く笑えなくなってしまった。
それがきっかけで大きな黒ぶちメガネをかけるようになった。
なるべく顔を隠したいと思ったからだ。
でも、私だって昔は可憐ちゃん程ではないにしろ、ニッコリ笑って受付業務をしていたと思うんだけどな。
「真知さん、私ちょっと手を洗ってきますね。」
「うん、いってらっしゃい。」
血の滲んだ手をふーふーしながら、可憐ちゃんは出ていった。
私は引き出しから絆創膏を出して彼女のデスクに置く。
ふいに扉が開いて、「おはようございまーす」と間延びした声が聞こえる。
「おはようございます。」
可憐ちゃんがいないときは当然私が受付をする。
仕分け作業の手を止めてカウンターへ寄ると、宗田くんが顔を覗かせていた。
宗田くんは私と同期で、設計職として入社して希望通り設計課へ配属されている。
1ヶ月の新入社員研修ののち各課に配属されるのだが、私は事務職、宗田くんは設計職ということでもう絡むことはないだろうなんて思っていたのに、図面管理課と設計課は密に関わりがあって、こうしてよく顔を合わす。
宗田くんは私を見ると、軽く右手を上げた。