こじらせ女子の恋愛事情
火照った体をクールダウンさせてから事務所に戻ると、可憐ちゃんが子犬のように近寄ってくる。

「宗田さんと何かありました?」

目をクリクリさせて無邪気に聞いてくる姿はどこか楽しそうでもある。

「いや…何で?」

何と言っていいものか、返答に困って曖昧な返事をすると、可憐ちゃんは拳を握りしめて力強く訴えてくる。

「だって宗田さん、真知さんを追いかけて行ったんですもん。本当に愛されてますよねぇ。いいなぁ。」

うっとりする可憐ちゃん。
何か勝手に妄想している気がするのは気のせいかしら?

「私も素敵な恋愛したいです。」

ほらやっぱり妄想してるよ。
確かに今しがた告白してキスされたけど、これが素敵かどうかは微妙なところ。
だって告白場所はトイレの前だし、初キスは非常階段の踊場だし。
そもそも仕事中の社内での出来事だし。

ていうか、そんなこと可憐ちゃんには言えないし、そもそもまだ付き合ってるとも言ってないんだけど、何がそんなに可憐ちゃんの妄想を掻き立てるのか。
甚だ疑問だ。
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