こじらせ女子の恋愛事情
「ここ座って。」

空いている場所に案内され控えめに座ると、設計課のメンバーが一斉にこちらを向く。
うっ。
そういうの苦手なんだよね。

「こちら、図面管理課の仁科さんと早川さんです。」

宗田くんの紹介に、私はペコリと頭を下げ、可憐ちゃんは「お邪魔します」と愛想よく挨拶をする。
ぐるりと見回せばよく図面を借りに来るメンバーもいて、全く知らない雰囲気ではなさそうだ。

物珍しげにこちらを見てくる視線が痛い。
けれどそれはすぐに打ち消された。

「図面管理課のアイドルっていう早川さん連れてくるなんて、宗田やるじゃん!」

アイドルと呼ばれた可憐ちゃんは手をブンブン振る。

「あ、アイドルなんかじゃないですっ。」

そんな仕草さえ、女の子らしくて可愛いんだよね。
可憐ちゃんは間違いなく図面管理課のアイドルだよ。

可憐ちゃんに注目が集まり、私に向けられた視線も全て可憐ちゃんが引き受けてくれる。

私はこっそり、ほっと胸を撫で下ろした。
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