焦れ恋ロマンス~エリートな彼の一途な独占欲
でもこれが普通だよね。だって婚活を目的としたパーティーだもの。それに当選確率十倍の狭き門を括り抜けて参加できたのだから。

そう思うと私なんかが参加してしまい、当選に外れた多くの人に対して申し訳なくなる。

立食スタイルの婚活パーティーでは、自由に飲食することができる。シャンパンを受け取りひとり、海が見渡せる窓の方へと移動した。

太陽の光を浴びて水面はキラキラと光り輝いている。最上階から見渡すと遠くまで見渡せて、境界線のその先も見たくなる。

昔、境界線はどれだけ遠い場所にあるんだろうと疑問に思い、調べたことがあったけれど、意外と肉眼で見える境界線は距離が短くてショックを受けたことを思い出した。

「懐かしいな……」

騒がしい室内で漏れた声。

昔の私は今思うと純粋だったと思う。恋愛に対してだってそうだった。初めての彼氏に浮かれて、彼も自分と同じ気持ちでずっといてくれていると信じて疑うことをしなかった。

……ううん、見ようとしなかったのかもしれない。
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