焦れ恋ロマンス~エリートな彼の一途な独占欲

* * *

二ヵ月前、サマーフェスタで一緒に花火を見た後、織田くんは仕事に戻っていった。『また連絡する』と言って。

しばらく陸地勤務だった彼。だけど休みが合わず、一度だけ食事に行くことになった。

その日は会議で予定より伸びてしまい、終わったのは待ち合わせ時間から一時間を過ぎた頃だった。

「ごめん、織田くん。今会議が終わって……。本当にごめんなさい」

急いで待ち合わせ場所へ向かいながら電話を掛けた。

一時間も待たせてしまったんだもの、怒られて当然だったのに、織田くんは『お疲れ様。待っているから、慌てずにゆっくり来て』って言ってくれたんだ。

織田くんと会えたのは、約束の一時間半後。それなのに彼は笑顔で「お疲れ様」と労ってくれたんだ。

その後、織田くんと向かった先はオシャレなイタリアンバーだった。

カウンター席に並んで座り、美味しい料理とワインを味わいながら、高校時代の話や好きな映画、音楽の話などに華を咲かせていった。

そして酔いも回ってきた頃、彼は急に真剣な面持ちを見せ囁くように言ったんだ。
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