焦れ恋ロマンス~エリートな彼の一途な独占欲
なにも言わない織田くんに耐えられなくなり、声を上げた。

「ごめんね、こんな話聞かせちゃって」

謝ると彼はすぐに言った。

「どうして謝るの? 俺は滝本の正直な気持ちを聞けて嬉しいのに」

「えっ……?」

彼の方を見る。目が合うと織田くんは優しい笑みを零した。

「すぐになにか言わなくてごめん。……色々と考えていたんだ」

「色々と?」

聞き返すと彼はワインを飲みながら「あぁ」と頷く。

「志賀と別れた後、滝本に好きな人ができなくてよかったって。……もし、また滝本が誰かを好きになって傷つくことがあったら、その後俺と再会しても、もう恋愛なんてしないって思っていたかもしれないだろ?」

「それは……そうかも」

たった一度の失恋でこれだもの。もう一度同じことがあったら私はきっと、立ち直れない気がするから。

すると織田くんは苦笑いした。

「そうだろ? だからよかったなって思って。……俺を好きになってくれたなら、変わらない気持ちもあるんだって証明できるから」
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