焦れ恋ロマンス~エリートな彼の一途な独占欲
なんて言ったらいいのかわからなくて、思わずお礼を言うと織田くんは噴き出した後、笑いを堪えながら「どういたしまして」と言う。

その笑顔がなんか可愛くて胸をキュンとさせられた。

その後、会う機会なく彼はまた海の上へ行ってしまった。今回は長期の航海になると言っていた通り、二ヵ月経った今も戻ってこない。

イタリアンバーで言われた織田くんの言葉が、頭の中からずっと離れてくれず、残ったまま。
そして私は、彼に対する自分の想いを巡らせるばかりだった。

* * *

私の悩み――。それは自分の気持ちがわからないことだ。

そもそも恋愛すること自体久しぶりすぎて、“好き”って気持ちがどんなものなのか忘れている。

でもきっと、間違いなく私は織田くんに惹かれている。だってこんなに悩んで仕事中にも考えてしまうのは、彼の存在が私の中でたしかに大きくなっているからでしょ?

そこまでわかっているのに、最後の一歩がなかなか踏み出せない。好きって気持ちを認められない。
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