焦れ恋ロマンス~エリートな彼の一途な独占欲
そんな彼女の優しさにずっと甘えて、せっかく誘ってもらえていたのに断ってきたけれど……。

いつもはすぐに「今回もごめん」と断っていたのに、気持ちが揺らぐ。

私、もう陸人のこと好きじゃないんだよね。それなのにどうして今まで逃げてばかりだったのかな。

会って辛い記憶を思い出したくなかったから? だけどそれじゃいつまで経っても、前に進めないよね。

『杏……?』

なにも言わない私の名前を呼ぶ愛に、恐る恐る聞いてみた。

「ねぇ、愛……これまでのクラス同窓会に陸人は来たことある?」

『えっ――?』

私の口から陸人の名前が出るとは思わなかったのか、途端に愛は声を上擦らせた。

『えっと……その、来ていたよ? 杏と別れてからずっと』

「そっか」

陸人は私と会ったらどうしようとか考えなかったのかな? ……いや、考えるわけないか。

だって向こうから振ってきたんだもの。もう私のことなんてどうでもいいんだよね。それなのに私はずっと参加せずにきて、なんだかバカみたい。

「愛、今度のクラス同窓会に参加させてもらえる?」
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